HOME > 展示会ご案内 > 「精華の名品展」 解説目次 > 「精華の名品展」解説
解説履歴
「晴明会館 精華の名品展―美術の見方、美術の楽しみ方」展覧会のご案内

晴明会館は日本画、洋画、浮世絵、彫刻、陶磁器、漆芸(しつげい)、ガラス工芸品など美術万般に渡る優れた美術品を所蔵しています。これは新健康協会の祖師である明主様(岡田茂吉師)が人間の心を向上させる美の世界を指し、「地上に美の天国を」と唱導されている美の精神を具現化するためです。福岡の清々(すがすが)しい聖丘に設立、開館されてから23年。山の緑と美しく調和する外観と共に、数多くの参観者を魅了してきました。また所蔵するコレクションも世界に誇る「世界宗教壁画(せかいしゅうきょうへきが)」(制作者杉本哲郎(すぎもとてつろう)は前回、生誕110年記念展を開催)とは別に、古今の時代にまたがる日本美術の名作(一部は海外作品も)を取り揃えており、今回の展覧会はそれらの中から精華たる名品を選び展示することにしました。
今回展示されるのは、絵画では江戸時代の絵巻物、屏風絵、水墨画の他、浮世絵(木版画、肉筆画)など近世の作品から明治、大正、昭和の日本画、西洋画の近代、現代作家の作品。工芸では日本の焼き物(陶芸)に大きな変革を起こした江戸時代前期の茶陶(ちゃとう)や磁器(じき)と色絵(いろえ)の出現、藩窯(はんよう)や各地の窯元(かまもと)で手法を引き継ぐ現代陶芸作家の作品。我が国の美術の影響から生まれたフランス・アールヌーボー(日本趣味)のガラス作品。日本独自の漆(うるし)工芸の光彩(こうさい)を放つ江戸時代大名家の婚礼用具、現代作家の漆による大画面など、いずれも日本美術を代表する作家達の作品です。
特に当館が誇る文禄(ぶんろく)2年(1593)天草(あまくさ)で出版された「伊曽保物語絵巻(いそほものがたりえまき)」(イソップ物語の翻訳(ほんやく)全六巻)は南蛮文化(なんばんぶんか)の貴重な遺品。浮世絵師広重(ひろしげ)の最晩年生涯最高の作品とした「名所江戸百景(めいしょえどひゃっけい)」(目録(もくろく)、118点)を全作品揃えている他、話題の多いナゾの画家岩佐又兵衛(いわさまたべえ)や、剣豪(けんごう)宮本武蔵(みやもとむさし)、西洋画の初め司馬江漢(しばこうかん)などの作品も出展し鑑賞の楽しみといたしました。
この度の展覧会の紹介は、今までと趣向(しゅこう)を変え毎回二人(又はそれ以上)の作家(作品)を組み合わせました。これは作家の活動期や作品の内容で何かの関係を持っていて、鑑賞者に理解と美術の親しみを深めるのに役立つと思ったからです。スペースが少なく十分な説明が出来ませんが、例えば第1章の「青木繁(あおきしげる)、坂本繁二郎(さかもとはんじろう)」では同じ久留米(くるめ)で生まれ共に机を並べ明治の天才画家と言われたが、その挫折と栄光の生涯を見たいから。また「荒川豊蔵(あらかわとよぞう)と有田(ありた)の色絵皿(いろえざら)」では土だけの日本の焼き物に磁器、色絵という大きな変革が起きたことを知る、と言った具合です。“美術は難しい”とよく言われますが、少しでも知識を持って見ると、全く気付かなかった発見や楽しみ方で接することが出来ます。今度の展覧会の副題にあえて「美術の見方、美術の楽しみ方」としたのはこんな事からです。新しい気分と眼(まなこ)でどうかゆっくりご覧下さい。

解説 晴明会館顧問・美術評論家 亀田正雄

ページトップへ

  当サイトに掲載されている全ての画像・写真の著作権は新健康協会・晴明会館が所有しております。
当サイトに掲載されている情報を許可なく複製・販売・貸与および出版などの行為を固く禁じます。
Copyright (c) 1999-2012 Product by Shinkenko-kyokai org. All rights reserved.