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第10回 “哀(あわ)れ平家滅亡(へいけめつぼう)”
狩野安信(かのうやすのぶ) 作「源平合戦絵巻(げんぺいかっせんえまき)」屏風(びょうぶ)


今、NHK大河ドラマ「平清盛(たいらのきよもり)」が大きな人気を呼んでいる。栄華(えいが)と権勢(けんせい)を極めた清盛が死んで僅(わず)か四年、源氏(げんじ)に追われた平家一門は壇ノ浦(だんのうら)で敗れ滅亡する。この物語は後世「平家物語(へいけものがたり)」や絵画で紹介され日本人の涙を誘った。晴明会館では6月から江戸時代の代表画家、狩野安信の筆とされる「源平合戦絵巻」屏風(六曲一双(ろっきょくいっそう))を一般公開している。屏風絵とはもともと日本人の生活調度品(ちょうどひん)である屏風に描かれた絵で、この作品の「六曲一双」とは六つの画面「六曲」を繋(つな)いで左右一対にしたのを「一双」と言われる。南蛮貿易(なんばんぼうえき)が始まった17世紀、世界の海で活躍していたポルトガルがこれに目を付け「ビヨンボ」と称して海外に紹介した。絵はキャンバスと見馴(みな)れてきた西洋人にとって、「屏風絵」は日本文化への大きな驚きと感動を与えた。
さて、この屏風―金地色(きんじいろ)の霞(かすみ)の中、海の青、山の緑と共に平家の赤旗、源氏の白旗が点々と目を引く。約八百年前西海(さいかい)に都落(みやこお)ちして行く平家を追う源氏のドラマ。若武者、平敦盛(たいらのあつもり)の最期(さいご)、船上の扇(おうぎ)の的(まと)を射(い)る那須与一(なすのよいち)、“海の底の都へ行こう”と局(つぼね)に抱かれ海に身を投じる8歳の安徳(あんとく)天皇。私達に馴染(なじ)み深い幾つものシーンが描かれている。
屏風絵の作者、狩野安信(1613〜1685)は狩野派を確立した探幽(たんゆう)の弟で、山水、人物、歴史画など広い範囲で絵を描いた。

解説 晴明会館顧問・美術評論家 亀田正雄

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