宮川長春(みやがわちょうしゅん)(1682-1752) 「桜見物図絵巻(さくらけんぶつずえまき)」
宮川長春は尾張国(おわりのくに)(愛知県)宮川(みやがわ)村の出身で、江戸(えど)の前期に活躍しました。伝統的な大和絵(やまとえ)の画風をもつ土佐派(とさは)を学び、菱川師宣(ひしかわもろのぶ)や懐月堂安度(かいげつどうあんど)の作風を参考にしながら、生涯にわたり版画(はんが)には手を染めず肉筆美人画(にくひつびじんが)だけを描きました。
浮世絵(うきよえ)の源流(げんりゅう)である初期風俗画(ふうぞくが)に、自由な画面の組み立てと豊かな色彩、そして気品溢(あふ)れる質の良い筆法で新しい領域を開き宮川派(みやがわは)の祖(そ)となりました。
春の陽気に誘われて、満開の桜(さくら)の木の下で奏(かな)でる三味(しゃみ)の音色(ねいろ)を聞きながら、酒宴(しゅえん)を楽しむ粋(いき)な江戸庶民の桜見物風景です。