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> 伊東深水「縫針」
伊東 深水(いとうしんすい)(1898-1972)
「縫針(ぬいばり)」
この作品「縫針」は、日本髪(にほんがみ)を結(ゆ)い、着物姿の縫い物をしている女性が、伏(ふ)し目(め)がちに糸を切る仕草を、針や糸、そして女性の指や口元から漂う色香が醸(かも)し出す空気感までも、絶妙な構図と共に、気品溢(あふ)れるタッチで描き出されています。
深水は、明治31年東京深川生まれ。印刷工の傍(かたわ)ら鏑木清方(かぶらききよかた)の門弟となり、文展(ぶんてん)、帝展(ていてん)、戦後の日展(にってん)で活躍しました。
浮世絵(うきよえ)の一大流派である歌川派(うたがわは)の流れをくむ深水の描く女性像は、“深水美人(しんすいびじん)”といわれその時代の女性の理想美を描き、多くの人々の心を引きつけ夢中にさせました。
戦後は美人画のみならず、激しく移り変わる世の中を現代感覚で捉え、沢山の名作を残しました。
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